我が国の経済成長の隘路の根本には、人口減少と少子高齢化、それにともなう生産年齢人口(15~64歳の人口、労働力人口)の減少という構造的問題があります。少子高齢化が進展する中、経済成長に対する労働力減少の影響を最小限に抑えるためには、就業者数・就業率の上昇による「量の増加」と生産性の向上による「質の改善」がともに重要と考えられています。量の増加について、とりわけ伸びしろがあると考えられる一つに高齢者の労働市場への参加があります。
生産年齢人口の減少が続くことにより、現状の労働参加率のままだと、
就業者数は、2015年:6,376万人、2020年:6,046万人、2030年:5,561万人と激減していくと推計されています。労働力人口(または就業者数)の減少を克服するためには、限られた人財がその能力を発揮し、誰もが活躍できる社会を構築することが重要と考えられます。
高齢者については、その数の増加が見込まれることから、より一層の活躍が期待されています(15歳~64歳の労働力人口は減少傾向にあるのに対し、65歳以上の労働力人口は増加しています)。一方で、65歳を超えても働きたいという希望のある高齢者は65.9%(2013年)であるのに対し、65歳以上の就業率は22.3%(2016年)にとどまっており、「働きたいが働いていない高齢者」が65歳以上で顕著であるという現実もあります。
- 我が国の少子高齢化:「少子高齢化」とは、出生率が減少し子どもの割合が低下する「少子化」と、65歳以上の高齢者人口が増加して高齢化率が上昇する「高齢化」が同時に進行している状況。1950年時点で5%に満たなかった我が国の高齢化率は、2015年には26.7%へと急激に上昇し、将来的には、2060年に39.9%と65歳以上人口が2.5人に1人という超高齢化社会になる見通し。
- 少子化と高齢化の影響:少子化の進行により、労働力の中心となる生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少。我が国の総人口に占める生産年齢人口の割合は、2010年の63.8%から減少を続けており、2016年:約60%→2060年:50.9%となると推計。労働力人口も、2014年:約52%(6,537万人)→2060年:約44%(3,795万人)と、加速度的に減少していくと推計される。少子化の進行は、人口減少の要因ともなり、我が国の総人口は、2008年(約1億2,800万人)を境に減少局面に入っているが、減少スピードは今後加速度的に高まっており、2020年代はじめは毎年60万人程度の減少であるが、それが2040年代頃には毎年100万人程度の減少スピードにまで加速し、このままでは2100年には人口が5,000万人を切ることが推計されている。人口減少・労働力人口の減少に伴い、経済規模の縮小、基礎自治体の担い手の減少といった問題が発生している。
少子高齢化と人口減少による労働力減少が経済成長に及ぼす影響を軽減させるためには、労働参加率の上昇による「量の増加」とともに、生産性の向上による「質の改善」が重要であるといわれています。
「質の改善」には、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」という考え方・状態が不可避と思われます。老若男女誰もが、仕事、家庭生活、地域生活、個人の自己啓発など、様々な活動について、自ら希望するバランスで展開できることが重要です。政府より、2007年に、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(憲章)と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が公表されていますが、同憲章では、仕事と生活の調和が実現した社会を、「国民一人一人がやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」とされています。
同様に、「質の改善」には「イノベーション」が必要と考えられています。ここでいう「イノベーション」とは、技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな考え方、仕組みを取り入れて、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことと考えています。このためには、従来の発想、仕組みの延長線上での取組では不十分であるとともに、基盤となる人の能力が最大限に発揮できる環境づくりが最も大切であるといっても過言ではありません。
(引用:働き方マスター)
医薬品は、その処方されるプロセスを通じ、患者さんやそのご家族の日々の生活に大きな影響を与えます。また、医薬品ビジネスは、薬価制度を通じ国の税金が投入されるビジネスモデルになります。その活動において、コンプライアンスを正しく意識・理解した対応が求められます。
医薬品ビジネスにおけるコンプライアンスとは、法令遵守にとどまらず、自主団体基準や行政からのガイドライン等、情報提供活動を行う上で理解すべき内容が多く、日々の活動において不安・懸念がある場合、各ルールに対する問題点を理解・解決して進める必要があります。情報提供担当者が活動において感じた懸念など、上司・部下・同僚間で、報・連・相等を通じ、解決されることも多いと思われますが、コンプライアンスの原理・原則・考え方、各種規則・基準などを熟知し、相談に乗ったり、アドバイスを行ったりする役割を負う専任部署・人員を置かれている企業も多いと思われます。
これらコンプライアンス関連部署・人員は、いわゆるスペシャリスト的な役割になろうかと思われますが、医薬品ビジネスの環境変化が激化する中(新薬開発への膨大な時間とコスト、既存薬と差別化され新たに承認される薬剤の減少、毎年の薬価改定による経営への影響等)、コンプライアンス関連の業務経験があり、また最新の情報・専門性を持ち、リスクマネジメント・コミュニケーションに対応できる人財をそれぞれに育成・配置するのは、厳しくなりつつあるのではないかと感じています。また、これらコンプライアンスの役割には、営業経験者・マネージャー経験者をその任で育成し、あてることが多いのかと思われます。一方、この進め方には、固定費としての人件費が継続して発生することや退職後にスペシャリストとしてのノウハウが社内に残りにくいといった課題もあるのではないかと思います。
- 日本型雇用慣行の特徴:日本型雇用は、「メンバーシップ型」であるといわれる。大企業で典型的にみられる形態として、長期雇用、年功賃金を前提として、職務や勤務地が原則無限定という雇用慣行である。賃金は勤続年数や能力を基準に決定され、定期昇給もある。事業撤退等により職務が消滅しても配置転換などにより雇用が維持されやすい。これに対し欧州(アジア諸国も)は「ジョブ型」といわれる。ジョブ型では、職務や勤務地が原則限定され、賃金は職務ごとに決定し、定期昇給はない。職務が消滅すれば金銭的な補償等の上で解雇されやすい。なお、日本型雇用(メンバーシップ型)は、中高齢期に多くの支出が必要となる労働者の生活に適合した賃金体系であるとか、職務が消滅しても雇用が維持され雇用安定に資するといったメリットがある。
これら、少子高齢化や医薬品ビジネスにおけるコンプライアンス関連業務に関し、弊社ができることを提案していきます。すなわち、企業にはよりフレキシブルなコストモデル(固定費→変動費)や質の高いサービスを一元的に、より競争力の高い価格で提供すること、また経験豊富な専門性のある高齢者には、やりがいのある仕事を自分のやりたいだけやりたい時間にモチベーション高くできる「ゆたかさ」を提供していきます。